クロストーク

CROSS TALK 02

私が赴任しているインドでは、新規商材となるトマト、トウガラシ、オクラについて現地のニーズをしっかり把握し、品種化を推し進めることが最大のミッションです。一方で、すでに売れているキャベツ、カリフラワーについては、さらなるシェアアップを目指して販路拡大中です。

トマトやトウガラシは、既存の品種ではダメなんですか?

そうだね。現地の病気に耐病性がなくてうまく育たなかったり、果実の形が現地のニーズと違ったりするから。今はそれらを意識したインド向けの品を種開発してもらってるんだよ。

形や色って、ほんとに国によって好みがありますよね。海外に出てはじめて強く実感したことの一つです。たとえばメキシコには白タマネギしかなく、コロンビアでは扁平なものが好まれます。本来なら丸い方が収量が上がって喜ばれるはずなのですが。

よくわかります。インドのトマトって硬くてあまりおいしくないのですが、生産地から消費地までが遠いこともあって、硬い品種が好まれるし、選ばれます。野菜は特に地域ごとに根付いた特徴があり、なかなか変えられないよね。

福本くんは生産部の前に研究農場にいたから、育種の視点もしっかり身に付いてるよね。

研究農場では、併設されている専門学校の生徒たちと作業することが多かったのですが、その時の経験が本当に役立っています。これまで担当していたタキイインドネシアにはスタッフとレイバーを合わせて約200名いたのですが、この作業にどの程度の時間と労力がかかるのか、どのようなミスが起こりやすい作業なのか、感覚として判断できました。

本社勤務の頃は、東南アジア地域が担当だったよね。インドネシア以外はどこの国を?

タイ、ベトナムです。お二人のように駐在ではなかったので、年間に120~150日は担当地域を含む国内外へ出張していました。種子生産を委託した採種会社を定期的に訪問してミーティングを行なったり、圃場で生育状況を確認したり。直近のミッションとしては、先ほど話に出たタキイインドネシアでの採種システムの再構築と進化。スタッフを含めて体制が大きく変わったので、徹底的に仕事の見直しも行いました。

インドネシアでの経験で痛感したのは、「人が育たないと、植物も育たない。」ということです。指導や管理することの難しさ、誠意を持って対応することの重要性を感じます。鈴木さんや向出さんは私以上にマネジネントの比重が高いと思いますが、そのあたりはどう思われますか?

「人づくり」って本当に大事です。アメリカの農場では昨年、開設当初からの作業リーダーが引退。次のリーダーをどうするかかなり悩んだ末、思い切って元気な若手に託してみたところ、意外にも農場全体が活気づいて。リーダーの経験が浅いため、皆がそれをフォローするように自分で考えて行動するようになりました。

私がとくに気をつけているのは、「人前で怒らないこと」。日本だったら人前で上司が部下を怒るなんていうのはそれほど珍しくないですが、海外では御法度です。

「みんなの前で怒られて悔しかったから次がんばろう!」と思うのは、たぶん日本人だけですね。海外では、たとえ人前でなくても、怒られたらやる気をなくしますね。「一緒にもっといい品種をつくろう、皆でもっといい仕事をしよう!」という前向きな接し方を心がけています。

仕事を頼む際も、日本だと「とりあえずやって。やれば分かるから。」ということも多いですが、それでは全く通用しない(笑)。「こういう理由でこういう目標に向かうために、あなたには今こういうことを期待している。」としっかり説明する必要があるよね。

アメリカで一番驚いたのは、やはり規模の大きさ、機械のデカさ、収穫期などの作業スタッフの多さ。日本の農業はそこと真っ向勝負するのは難しい、もっと選択と集中を図るべきだと感じます。大規模化もひとつの方向ですが、味、鮮度、安全性といった国産だからこその付加価値づくりにもっと力を入れて取り組んだほうがいい。帰国すると、日本の食事って本当においしいなと感心します。

たしかに、海外にしばらくいると、日本の農業や農産物のきめ細かさに改めて驚かされます。

そうだよね。日本は国土が限られている上に、山地に囲まれた狭小な畑も多く、四季折々の気候の変化も激しい。そうした状況に対応する品種をつくってきたブリーダーたちの意識や技術も高い。海外では気候に細かく対応する品種開発が日本ほど進んでいないので、そこは勝ち目があるのでは、と考えています。また、あえて日本人が海外向けの育種をすることの意義というか、アイデンティティも日本で培った育種技術を発揮して海外農業に貢献することにあるのかなと感じています。

鈴木くんが言うように、厳しい栽培環境に加えて、細かな流通基準もクリアしなければならない日本向けの品種育成はシビアでタフだと思います。その育種力は海外でぜひ活かしていきたいですね。

「海外から見たタキイ」については、どのようなことを感じますか?

やはり規模にものをいうバイオメジャーと真っ向勝負するのではなく、違うポイントで勝ちにいくことが大事だと思います。タキイは効率よく育種するノウハウが強みだと思うので、それを最大限発揮するために、ターゲットをしっかり絞ること。そして、ターゲットを絞るためには海外営業と我々がしっかりコミュニケーションを取ることが必要だと思います。

その通りだね。ただ、ターゲットを絞るためには、現地に人と資金をどんどん投入して情報を集めないといけない。ところが、タキイは海外でも国内と同じように堅実な少数精鋭体制を維持しています。インドのようにこれから拡大が見込めるマーケットについては、戦略的にもう少し大胆な投資をしてもいいのでは、と感じます。

たぶん、育種へのリクエストが一番多いと思いますが…

早く品種出してよ、とか。売れる品種つくってよ、とか(笑)

種が採りやすい品種にしてくださいよ、とか(笑)

この話題は防戦一方ですね(笑)

まじめな話、ブリーダーには「世間を一世風靡するぞ!」というような情熱、気持ちの入った品種をぜひ生み出していただきたいですね。作り手の背景や執念が見えると、採種するのも気合いが入ります。

情熱を一人だけが持っていても、なかなか物事は前に進まないんだよなぁ。色んな意味で体制が整っている日本だと、一旦レールにさえ乗せれば勝手に進んでいくけど、海外では自分の情熱を他者にどんどん伝播して、いかに多くの人とシェアできるか。物事を動かそうと思うと大きなエネルギーが必要になるよね。

つい最近、そんな「情熱の連鎖」を実感する出来事がありました。種が採りづらいため品種化を断念したかけていたものがあったのですが、タキイ・ド・ブラジルの担当者から「頼むから品種化をあきらめないで!」と熱烈に言われて。いかに待ち望まれている品種なのかが伝わってきて、「よし、何とかしよう!」と、気持ちが一気に高まりました。

平日は出張、単身赴任なので休日はもっぱら掃除洗濯…。夢のない話ですみません(笑)。たまに、夜行バスに乗って世界遺産巡りを楽しんでいます。住んでいるのはバンガロールという内陸の都市。日本の食材はあまり手に入りませんし、宗教的に豚肉や牛肉も買うことが難しい、内陸なので魚もない…。食についてははっきり言って何の楽しみもないですよ(笑)

私はアリゾナ州のユマという、カリフォルニアに近いところに住んでいるのですが、空気が乾燥しているので、コーラが最高においしく感じるんですよ。ハンバーガーもうまい。途中でこれはヤバイと気付き、今は控えています。家族と一緒なので、休日は車でロスやサンディエゴのテーマパークに行ったり、グランドキャニオンに行くなど、海外生活を満喫しています。

休日は私も主に掃除や洗濯が多いです。ベトナムに赴任してまだ間もないため、観光は十分にできていませんが、いずれは世界遺産や美味しい料理を食べに遠出してみたいなと考えています。 食事については、ベトナム料理を中心に食べています。近所に住む知り合いの方々からおかずをもらったりするのですが、とても美味しいです。 週末には家族から送ってもらった日本食を楽しんでいます。

二人とも、いいな…。

世界に通用するシードマンになることです!

挑戦と情熱を忘れず、種子生産の道を極めたいですね。

タマネギでの世界制覇です。種を採ってくださる生産部さん、売ってくださる海外営業さんの力が不可欠ですので、ぜひ一緒にがんばりましょう!

育種

鈴木 良平
研究農場
アメリカンタキイ 
2001年入社
農学研究科 応用生命科学科専攻修了

「農業の要は品種」との想いを胸に、学生時代から現在まで一貫して育種の道を歩む。入社以来13年間、研究農場で国内向けタマネギの品種開発に携わっていたが、「より広い視点を持つためにも次のステージに進みたい」との希望が叶い、2013年よりアメリカに赴任。自社の営業部門や現地の代理店が「売りたくなる品種」、生産者が「使いたくなる品種」の開発に奮闘中。

種子生産

福本 俊太郎
生産部 タキイベトナム
2011年入社
農学研究科 地域環境科学専攻修了

生産部への配属を前提に入社後2年間、研究農場で育種の基礎を学ぶ。品種開発への知見を深めつつも、種子生産という仕事への熱意は全く冷めなかった。その原点は、学生時代にタイで行なったマンゴスチンの研究。厳しい自然環境に臨機応変に対応しながら、現場で考え現場で実践することの重要性を痛感。「種子生産は泥臭い仕事も多いですが、知れば知るほど奥が深い仕事です。」

海外営業

向出 将和
タキイインディア
2000年入社
農学部 地域環境科学科卒

入社時は国内営業に配属されたが、2年目で韓国に赴任。早い段階から海外営業としてのキャリアを積む。その後、インドの現地法人立ち上げに携わり、2013年より責任者として赴任。営業、採用、財務、労務と業務はじつに幅広く、4人の現地スタッフとともに広い国土を奔走する日々。業績、体制ともにほぼ順調に推移している状況だが「課題は山積みです。」と笑う。